でも、その夜から村では奇妙な事件が続いたんだって。
夜になると誰かが行方不明になったり、祠の前で倒れていたりしたそうだ。最初は祠のことは誰も気にしていなかったが、次第に村中がざわつき始めた。行方不明になった人たちは、見つかると恐怖で引きつった顔をしていて、目が見開かれていた。
子どもたちは日が暮れてから出歩かないよう大人に注意されていたけど、ある夜じいちゃんの友達が祠の前で発見され、そのときには既に亡くなっていたそうだ。その手には古びたお札の一部が握られていて、何かを引き剥がそうとしたようだったらしい。それ以来、祠の周りで奇妙な影を見るという話が増えたそうだ。昼間でも薄暗い森の中で、黒い影のようなものが見えたらしい。